森田子龍

森田子龍

Morita Shiryū

1912–1998

戦後、「書」を世界の現代美術へとひらいた書家。

森田子龍の遺族が運営する一般社団法人として、作品を守り、国内外の美術館・ギャラリーとともに伝えています。

作家について

森田子龍(1912–1998)は、兵庫県豊岡市に生まれた書家です。上田桑鳩に学び、戦後、「書」を同時代の芸術として問い直す運動の先頭に立ちました。

1951年に雑誌『墨美』を創刊。翌年には井上有一ら4人の書家と京都・龍安寺に集い、墨人会を結成します。『書の美』『墨美』の誌面では、ポロック、クライン、スーラージュら欧米の抽象画家を紹介し、書と抽象絵画が出会う場をつくりました。作品はニューヨーク近代美術館やサンパウロ・ビエンナーレなどで発表され、「書」は戦後の国際的な美術の動きのなかに位置づけられていきます。

森田は文字から離れることなく、筆の動きと余白が生む時間と空間を追い続けました。黒地に金色の筆跡が浮かぶ独自の技法「漆金」も、その探究のなかから生まれたものです。

「『東西の交流』は 私の仕事の重要テーマの第一」
森田子龍『墨美』二九七号(一九八〇年一月)

作品

所蔵作品の一覧(画像・寸法・来歴)は、お問い合わせいただいた方に個別にお送りしています。

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略年譜

  1. 1912兵庫県豊岡市に生まれる。本名・清。
  2. 1937上田桑鳩に師事し、雑誌『書道藝術』の編集に携わる。
  3. 1948雑誌『書の美』の創刊に携わり、編集を担う。
  4. 1951雑誌『墨美』を創刊(1981年、301号で終刊)。
  5. 1952井上有一、江口草玄、関谷義道、中村木子とともに墨人会を結成。
  6. 1954ニューヨーク近代美術館「Japanese Calligraphy」展に出品。
  7. 1955東京国立近代美術館主催の欧州巡回展を企画、出品。以後、海外展への出品を重ねる。
  8. 1959第5回サンパウロ・ビエンナーレに出品(第6回にも出品)。
  9. 1963ドイツ・バーデン=バーデン国立美術館の「書法と形象」展に参画、出品。ニューヨークのミーチュー画廊で個展。以後、欧米で個展を重ねる。
  10. 1980京都市文化功労者として表彰される。
  11. 1991兵庫県文化賞を受賞。
  12. 1992「森田子龍と墨美」展(兵庫県立近代美術館)。
  13. 199812月1日、死去。

展覧会

2026年10月20日–2027年2月23日

「前衛って何だ!?」

兵庫県立美術館 コレクション展Ⅱ(神戸)

「前衛」をテーマに、同館のコレクションから日本の前衛美術を紹介。会期前半(12月13日まで)は、2階展示室6でテーマに沿った日本画と書を展示。

展覧会の詳細

2026年10月1日–15日

「現代書巨匠たちによる“臨書と創作のやりとり”展」

永井画廊(東京・銀座)

上田桑鳩、宇野雪村、森田子龍、井上有一の臨書と創作を並べ、書家にとっての「臨書」の意味を問う。森田は《臨建中告身帖》(1984年)と《舞》(1969年)を出品。10月3日に対談。

展覧会の詳細

2026年9月25日
プレオープン

森田子龍ギャラリー「墨白」

TOYOOKA1925(兵庫県豊岡市)

豊岡市が所蔵する森田子龍の未公開作品と遺品を、故郷・豊岡で紹介するギャラリー。国の文化財である元銀行の名建築を生かしたホテルの2階にある。

ギャラリーの詳細

2026年5月30日–7月4日

「比田井南谷と森田子龍」

東京画廊+BTAP(東京・銀座)

同じ1912年に生まれた前衛書家ふたりの作品を、共通点と対照から紹介。

展覧会ページ(東京画廊)

2024年3月16日–5月19日

「スーラージュと森田子龍」

兵庫県立美術館(神戸)

1950年代から交流のあったフランスの画家ピエール・スーラージュとの二人展。森田の作品約30点が、約30年ぶりに一堂に会した。

展覧会レポート(Tokyo Art Beat)

主な収蔵先

  • シカゴ美術館
  • ミネアポリス美術館
  • M+(香港)
  • 京都国立近代美術館
  • 国立国際美術館
  • 兵庫県立美術館

関連書籍

2020年

Bokujinkai: Japanese Calligraphy and the Postwar Avant-Garde

Eugenia Bogdanova-Kummer 著 Brill(ライデン、ボストン) 英語、193頁

戦後日本の書の歴史を主題とする、英語による初めての本です。1952年に京都で森田子龍ら5人の書家が結成した墨人会を軸に、書が戦後の国際的な前衛美術のなかで担った役割を描いています。

戦後の抽象美術をめぐる国際的な交流は、これまで主に、欧米の抽象画家と、具体美術協会に代表される日本の抽象画家とのあいだのものとして論じられてきました。本書は、この交流が実は三者の構造をもち、書家も対等な参加者であったことを論じます。当時は明らかだったこの事実は、のちにすっかり見えなくなっていました。

さらに、ヨーロッパ中心のモダニズムとは「測り合えない」、海外には「伝わらない」とされた書が、戦後初期の数十年のあいだに視覚芸術の捉え方そのものを変え、その地平を押し広げていった過程をたどります。

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